
評価4.1
※この映画はゲイ主題のストーリーではないです。
今後もゲイメインでなくとも、副題だったり登場人物がサブで出てるレベルでも載せていきます🙇♂️。
アマプラで視聴。3〜4年前ぐらいに観て、今回2回目の視聴。
八王子で起きた狂気的な殺人事件の現場には、「怒」という文字が血で色濃く残されていた。
そして未解決となっていたこの事件に続報が出る。
それにより、3人の前歴不詳の男に対し、実は殺人犯なのでは?とそれぞれの周囲が疑念を抱き始める…..
—-ネタバレ注意(視聴後に見ることを推奨)—-
広瀬すずのシーンが結構しんどかったのを覚えてて、
全体的なトーンも明るくはないので、腰を上げる気持ちで2回目観ました。
【怒りの沸点】
タナカ(森山未來)は、狂気じみたサイコパスのようにも見えるが、本来はそうじゃないと感じた。
働くために真夏に汗だくになりながら歩いて仕事場に出向く。
出向いた先に仕事場はなく間違いだと電話越しで笑い声。
なんだよとムシャクシャした怒り。
そこに冷たい麦茶。
本当はありがたい物だが、
前後の関係や、どっかに行ってほしいためのものか、などと考えイライラに加算。
吹っ切れて、事に及ぶ。
真面目に生きているのにこの不当さ、理不尽さ。
それに対しての怒り。
その理不尽さに正面から怒れずにムシャクシャしている自分に対してのふがいない怒り。
現状を簡単に変えれない怒り。
世間から見た自分の立場への怒り。
社会への漠然とした怒り。
そういう一言では表せない凝縮した怒りを血の滲みに感じた。
急にスーツケースを投げるシーン、食堂を壊すシーンに怒りの発露がありましたよね。
あれが彼自身を殺人鬼にさせた分岐点の象徴なのかなと思った。
ああいう気持ちになった時にどうするか。
あそこまではなくとも、誰でもムシャクシャして全てを放り投げて発散したくなるような気持ちになることはありますよね。
沸点に達した時に、
そこをこらえて常温に戻して平静を繕って生きるか、
あるいは油を注いでしまい爆発するか。
それって誰にでもありそうで紙一重だなと。
だから、一見逸脱したタナカを見た時に、
はいはいやばいサイコパスの殺人犯ね。
とは片付けられないものを感じた。
【信じたいけど信じきれない】
3人が前歴不詳で殺人犯に似ていることで、それぞれの周りは信じたいけどどこか疑ってしまう…
この感情そわそわしますね。
特にゲイの自分としては、優馬(妻夫木)と直人(綾野)の2人の心理、リアルだなぁと思いました。
優馬は直人を信じ切れなかったけど、
あの状況(正体不詳、見知らぬ女性とのカフェ、ホクロが縦に3つの報道、身近な友人達の空き巣)からの、あのタイミングで警察からの電話。
優馬は自分自身を責めていたけど、信じきるには結構難易度高いと思う。
優馬が途中不安になって、直人を試すような発言をしてました。
映画の中でも言ってたけど、
どんな答えをもらっても結局は自分がそれをどう受け取るかなんだよなぁと実感しますね。
自分もリアルで初めて会う時、
性格含めどういう人なのか。文面ではこう言ってるけど上っ面なんじゃないか?とか、
些細なことで、本当は裏の顔があるんじゃないか?と思ったことはあります。
ただそれを考え出したらキリがない。
経験によって色んなことがチラついて、逆に不器用になるのは悲しいものです。
こういう映画観ると、
はいこれから信じよう!と感化されるんだけどね笑
【演技が光る】
(敬称省く)
森山未來は、元々の雰囲気も相まって何を考えてるか分からない感じがもう既にハマり役だった。
妻夫木聡と綾野剛もステレオタイプなゲイじゃなく自然な感じだった。
広瀬すずも体当たり演技が圧巻。
松山ケンイチも最初の不審者感→終盤の不安を抱えた素直な青年、の変貌も好き。
渡辺謙は、娘のことになると弱気さが出つつも、どっしりしていなければという感じが上手かった。
宮崎あおいは、感情のまま突っ走る危うさみたいなのが出てて個人的には1番良かった。
”私みたいなのは借金に追われてるような人としか一緒に幸せになれないの。”
と急に真顔になるシーン、ちょいホラーだったな。
千葉編(宮崎あおいと松山ケンイチ)が割と好きだったんだけど、
松山ケンイチを通報した後に、”戻ってこい”はどうなん?とちょっと思った。
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皆さんはもし優馬と同じ状況だったら、直人を信じて警察の電話に知り合いですと言えますか?
自分はどこまで他者を信じられるだろう。
そして信じられない不安や、怒り、脆さは誰の中にも潜んでいる。
そんなことをこの映画を観て考えました。
大好きで何度も観たい映画!とかではないが、
すごく完成されてて人間の深層心理をえぐってくる見応えのある映画でした。
【おすすめの人】
・サスペンス、スリラー、ミステリー好き
・人間の深層心理系の映画が好き
・信頼関係について考えたい
・豪華俳優の演技が観たい
・娯楽映画ではなく、ずっしりした映画が観たい